離婚に対する子供の反応と成人後への影響

これまでの不幸な夫婦関係の苦しみから脱出する事が出来ると夫婦は考え、離婚成立時はお互いに安堵感を持つ方も多いようですが、子供さん達のほとんどが心に深い傷を背負う事になります。言葉をまだ発せない幼児はもちろんの事,場合によっては胎児でさえその事を感じ取る事が分かってきています。年齢によりどのような影響があるのか今では世界中の研究機関で様々の臨床研究結果が発表されています。

年齢 位置づけ 影響
0歳〜18ヶ月の幼児
  • 両親との愛着関係、絆を形成する
  • 母親の心理状態の影響を受ける
  • 母親が母性に集中するべき時期
  • 胎児のとき夫婦の激しい、いさかいや母親の悲しみ、怒りの影響が考えられます
  • 自分は愛される価値のある人間であるという認識を感じる時期、すなわち人間が将来とも、最も大切な自分への信頼感の基礎を作る時期である〈自己信頼欲求の充足)
  • 怒りが悪性投影され、結果自分の子供を可愛いと思えなくなる
  • 虐待や育児放棄に繋がる事はめずらしくない
  • 子供は自分は愛される資格がないと認識し、生涯自分に自信がもてないまま、さまよった人生を歩き続ける事に繋がる可能性が大きい
18ヶ月〜3歳児
  • 自由の欲求と自分への愛着を求める
  • 子供は自由と愛着のハザマで葛藤が続く
  • この時機の子供はハイハイからつかみ立ちそして直立歩行が可能になり,いっぺんに行動範囲が広がり、自由な世界を求め、あたかも母親から離れていくような感じさえあります。しかし行動してみて自分の無力さを味わい安全な母親の愛情と安全性を見直し回帰する現象を見せます
  • 母親は忍耐が必要な時期で忍耐できないで感情的になる場合が多いので、その事に寛容な父親の存在は重要
  • 突然父親がいなくなると、子供には大きなショック、うなされたり、音に敏感になったり、大きな犬や動物を恐がる
  • 父親がいなくなった悪い空想をしてしまう
  • 両親揃って行動した、家族の記憶がない
  • 子供の再接近の時期の父親の存在は重要
3歳から5歳児
  • 道徳的に良い悪いの判断は出来ない時期
  • 「三つ子の魂百まで」
  • 離婚の原因が自分のせいだと思う
  • 精神的に安全安心が保たれて育つと子供は母親と離れても自分ひとりで近くの幼稚園や保育園に行けるようになる。
  • 発達段階のこの頃には離婚の意味を何となく理解できるが別居の混乱や怒り、悲しみ 捨てられたという失望感は癒しがたい
  • 離婚について父母いずれが悪い良いの判断はこの時期はまだ出来ない。子供は強い吹き込みが無い限り中立的な意識を持つ
  • 3歳〜5歳までの時期の環境、感情の認識が生涯にわたって大きな影響を与える
  • 離婚の原因を自分のせいと思い込み極端に良い子になろうとする
  • この時期に離婚や母親との離別があると母親にしがみついて幼稚園にもいけなくなったり動物や暗やみを恐がり夜鳴きや赤ちゃん言葉など退行現象が起きる
6歳から8歳児
  • この頃は最も見捨てられ感が強く、悲しみ、失望感を感じる時期
  • 母親が身近にいたのに就労の為離れて過ごす時間が増え、二重の喪失感を持つ
  • 父親を追い出し結婚を壊したという怒りを母親に向けて発することがある
  • 子供は離婚の怒りや悲しみを男女異なる表現で発するようになる
  • 父親としては、離婚後の子供の自分への思慕が気になり、機会があれば逢いたいという思いを持ち続ける人も多い
  • 子供の深い悲しみや失望感を理解し心を癒す為のアプローチが必要な時期である
  • 自分がもっと良い子であればこんな悲劇は起きなかったのではとさいなみ、いらだちや自分への怒りを表す
  • 女の子は、極端に良い子を装ったり、うつ状態になったりする。男の子は親への怒りを友達にぶっつけたりヒーローを演じて自己満足する
  • 男の子は去って行った父親への思慕が強く、虐待的だった父の真似を家族にする場合がある
9歳から12歳
  • この年齢の子供は正義感や道徳感に目覚め、何事にも白黒をつけたがる
  • 男の子の場合父親への思慕感が強く母親に怒りを感じ続ける子も多い
  • 女の子はいつか又みんなで仲良く暮らせる日がきっと来るという父母の和解幻想を抱き続ける子が多い
  • 母親が離婚から精神的に立ち直れない場合、気丈な子供が母親と役割が反対になる、いわゆる逆転現象をおこし、母親を親戚や祖父母等の中傷やお仕着せ、抑うつから守リ戦おうとする行動、又は助言者、保護者的な役割をする子供も少なくない
  • 離婚前は家族で一緒に話し合う機会があったが離婚後家族が揃って話合う機会がなくなりそれぞれバラバラになってしまいやすい
  • 離婚前の父母の関係が平等であっても、離婚の責任はどちらにあったのか、離婚によって傷つき、いまだに苦しんでいるのはどちらかという関心が強く、弱い方、正しいほうに味方する傾向を示す
  • 離婚前の父母の関係が平等であっても、離婚の責任はどちらにあったのか、離婚によって傷つきいまだに苦しんでいるのはどちらかという関心が強く、弱い方、正しいほうに味方する傾向を示す
  • 男の子場合母親が一方的な態度で臨んだ場合、強い抵抗や反抗的な態度を出したり、友達や先生に攻撃的態度をとる場合がある。
  • 女の子は自分がうんと良い子になるか重い病気になれば父が逢いに来て、それをきっかけに父母が元の仲の良い夫婦に戻るのではという期待を持ち続ける子が多い
  • 母親を守ろうとする意識も長期化すると母親に対する虐待や暴力に変わる場合もある
13歳以上
  • 最も安定した家庭環境を必要としている思春期で両親の離婚に遭遇した場合精神的なダメージを受け、それまでの行動と全く違う方向に向かいやすい
  • 受験期の子供は集中力を失い、親に対する怒りを内に向けうつになったり、ひきこもり、不登校、場合によっては、学校での暴力行為や非行に走る子供も多い